そこで、イエスはお答えになった。「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。あなたの願いどおりになるように。」そのとき、娘の病気はいやされた。(28節)
ティルスとシドンは大きな異邦人の街であり、ユダヤ人がその地域を訪ねることは稀でした。けれどもイエスさまは弟子たちと共にそこに向かわれたのです。そこで主イエスはひとりの女性と出会われます。
最終的にこの女性は「婦人よ、あなたの信仰は立派だ」という励ましの言葉をイエスさまからいただきました。福音書の中で、主がこのように言われるのはとても珍しいことです。
この女性の信仰の秘訣は何だったのでしょうか。第一にこの女性はイエス・キリストに対する期待を持っていました。この方なら私を助けてくれる、この状況をなんとかしてくれる、という期待です。彼女は、イエスさまが救い主であることを認め、自分の痛みを包み隠さず主イエスに語ったのです。
第二に、彼女は心から自分の子どもを愛していました。病気の娘を助けたい、という強い願いが彼女を動かしました。愛する娘のためならどんなことでもする母親だったのです。
そして三番目に、彼女の信仰は”あきらめない信仰”でした。このことが私たちにとって最も大切な教訓であるといえます。彼女には称賛されるべき特質が多くあります。彼女の知恵、機転の良さ、慎ましさ、忍耐などは賞賛に値するものであると思います。
しかしイエスさまは「婦人よ、あなたの知恵は素晴らしい」と言われたのではなく、「あなたの信仰は立派だ」と言われました。イエスさまが褒めたのは、彼女の“信仰”だったのです。なぜなら彼女はその信仰の故に、イエスさまの恵みと憐れみを受けたからです。