2023年9月17日「なおも実を結ぶ」加山献牧師

「神に従う人はなつめやしのように茂り、レバノンの杉のようにそびえます。主の家に植えられ、わたしたちの神の庭に茂ります。白髪になってもなお実を結び、命に溢れ、いきいきとし、述べ伝えるでしょう、わたしの岩と頼む主は正しい方、御もとには不正がない、と。」(詩編92編13節~16節)

 

旧約聖書では、年を重ねるということそのものが神さまの祝福として描かれています。ユダヤの人々の間には、長寿というものは、神さまが与えてくださる最良の恵みのひとつなのだという考えがあったのです。詩編92編もそのユダヤの伝統がよく表れている聖書箇所です。

この箇所で、神を信じつつ年を重ねて生きていく人はふたつの樹木にたとえられています。一つは“なつめやし”です。なつめやしは砂漠の中で育つことできる貴重な木でした。過酷な環境でも、わずかな水分で生きていく事ができるのです。大きなものは25メートル近くまでのびることがあり、その実(デーツ)は砂漠を移動する旅人に憩いを提供しました。

二つ目は“レバノン杉”です。レバノン杉も中東において重宝された樹木でした。丈夫で長持ちするレバノン杉はかなり広範囲で用いられ、高値で取引されました。あのソロモン王も、神殿を作る時にはこのレバノン杉を用いました。それ故にレバノン杉はこの地域の人々の誇りでした。今でもレバノンという国の国旗にはレバノン杉が描かれています。レバノン共和国国歌に「杉はその誇り 不滅の象徴なり」とうたわれ、その姿は国旗だけでなく、紙幣、硬貨、切手にもなっています。

神に従う人も同じように生きるのだ、とこの詩編は語ります。なつめやし、またレバノン杉のように、地中深くに根を張り、乾いた地にあって人々の生活に欠かせない存在とされて生きていくのです。