「アシェル族のファヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。」(ルカによる福音書2章36節)
これは救い主の誕生を長い間待ち続けた一人の女性のストーリーです。アンナは預言者として神殿で働く女性でした。実は彼女は悲しみを知る人でした。36節は次のように続きます。
「若いとき嫁いでから七年間夫と共に暮らしたが、夫に死に別れ・・・」(36節)
人生に起こる落胆は人から信仰や希望を取り去ってしまうことがあります。しかし彼女は落胆を乗り越え救い主を待ち続けたのです。
「非常に年をとっていて、・・・八十四歳になっていた。」(37節)
第二に、彼女は当時の平均寿命を考えると驚くべき長寿の恵みをいただいていました。若者が将来に対して期待感をもっていることはある意味自然なことかもしれません。しかし年を重ねた人がなおも将来に対して希望を持ち続けることは特別なことだと思います。アンナは年を重ねても望みを捨てない人でした。
「彼女は神殿を離れず・・・夜も昼も神に仕えていた」(37節)
第三に、彼女は礼拝と祈りを欠かさない人でした。彼女の人生にとって礼拝と祈りは最も優先すべきことでした。少しでも嫌なことが起こると信仰をあきらめてしまいがちな私達ですが、彼女は生涯、信仰から離れることはなかったのです。
「そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した。」(38節)
主イエスが誕生し八日目、ヨセフとマリヤは新生児を祝福していただくために神殿に宮参りに来ました。彼女はついに神様の約束が実現し、救い主が誕生したことを喜びました。彼女は周囲にその喜びを語らずにいられませんでした。生涯待ち焦がれていたキリストに出会った喜びを抑えておくことはできなかったのです。