2024年6月16日「わたしたちの父である神」加山献牧師

「わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように。」 (コリントの信徒への手紙第二1章2節)

第二コリントの信徒への手紙の冒頭で、パウロは「わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように」と書き送っています。パウロはこの聖書に啓示された神さまを「わたしたちの父である神」と紹介しています。彼はなぜ神さまのことを「わたしたちの父である神」と呼ぶのでしょうか。

パウロの考えの背景にはイエス・キリストの教えの影響があります。主イエスはマタイの6章で次のように語っています。有名な主の祈りの箇所です。

「だから、こう祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ、御名が崇められますように。御国が来ますように。御心が行われますように、天におけるように地の上にも。』」 (マタイによる福音書6章9節~10節

ここでイエスさまは”天におられるわたしたちの父よ”と呼びかけ祈るように教えられました。これは当時のユダヤの社会ではかなり革命的なことであったといわれています。旧約聖書が示すとおり、聖書の神さまは圧倒的に聖なる神であり、罪ある人間はその前に立つことはできず、近寄りがたく、恐れを持って尊敬されるべき存在であると考えられていました。

けれどもイエスさまは「アッバ(アラム語でお父さんの意)、父よ」「私のお父さん」と呼びかけ、弟子たちにもそのように祈るように教えられたのです。つまり、わたしたちは今や、神の御子イエス・キリストを通して、神さま親しく交わることができることを新約聖書は証しているのです。

わたしたちひとりひとりは父なる神様の子として受け入れられている存在です。父なる神はわたしたちから遠く離れてはおられません。イエス・キリストを通して、父なる神さまと共に生きていくことが許されていることを心から感謝します。