【離婚についての質問】
ファリサイ派の人々が近寄り、イエスを試そうとして、「何か理由があれば、夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と言った。(3節)
当時のファリサイ派の中には二つの派閥がありました。ラビの名前からそれぞれヒレル派とシャンマイ派と呼ばれています。シャンマイ派は妻によほど不誠実なことがないかぎりは離婚してはならない、と教えていました。一方、ヒレル派は妻が料理を焦がしただけでも離婚の理由にしてよい、と言っていたのです。
この時代のもうひとつの背景として、女性は男性の所有している財産の一部として考えられていました。女性の方から離婚を申し出ることはできず、男性にのみ決定権があったのです。現代の感覚と比べると驚くほど男性中心の社会だったことが分かります。
【主イエスの主張】
イエスはお答えになった。「あなたたちは読んだことがないのか。創造主は初めから人を男と女とにお造りになった。」 そして、こうも言われた。「それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。だから、二人はもはや別々ではなく、一体である。従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」(4節~6節)
主イエスはモーセの律法もよりもさらにさかのぼって天地創造の物語にまで話を戻します。そして離婚という否定的な主題から離れ、そもそも結婚とはいかなるものなのか、という根源的なテーマについて教えられました。イエスさまの主張は以下の通りです。
1)男女は共に神の被造物であり、神の前に同等の立場と尊厳を持っている。
2)結婚は神によって定められたものなので、大切にしなければならない。
3)もはや二人はひとつである。神が出会わせて、結び合わせてくださったものを離さないように。