聖書箇所:マタイによる福音書10章16節~23節
「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい。」(マタイ10:16)
これは主イエスが弟子たちを送り出す際に語った言葉の一部です。主は弟子たちに使命を与えて送り出しました。その使命は、福音を携えて出かけていき、すべての人に神の愛を分かちあっていくことでした。しかし、その先には厳しい迫害がまっていました。
主イエスの預言の通りに、ユダヤの宗教的指導者たちからの迫害があり、次にローマ帝国による大きな弾圧が続きました。しかし、弟子たちは最後まで諦めませんでした。彼らにとってイエス・キリストという存在はそれほどまでに価値あるものだったのです。
私たちの信仰はキリストの弟子たち、そして初代教会の人々の信仰の土台の上に立っています。多くの先人が、与えられたその使命に忠実だったからこそ、私たちは今日も教会に集い礼拝することができているのです。
私たちの信仰の歩みにもそれなりの山や谷があると思います。初代教会の人々が最後まで忠実であったように、私たちも忠実な僕でありたいと思います。
「最後まで耐え忍ぶ者は救われる」と主イエスは語られました。第一に、どんなに困難な状況が続いても、その苦しみにも最後がある、終わりがある、と主は言われます。苦しみのスパイラルに陥っているように感じられる時も、それが永遠に続くことはありません。必ず終わりが来ます。
第二にギリシア語の「ヒュポメノウ」(耐え忍ぶ)は「~の下にとどまる」という意味の言葉です。ヨハネによる福音書の中で主は次のようにも言われました。「私の愛の内に留まりなさい。」
第三に「あなたは救われる」と主イエスは言われました。全てのことについて報いがある、ということです。私たちの流した涙、私たちが感じた孤独、全てを神様は知っていてくださいます。「忠実な我が僕よ、よくやった。私と一緒に喜んでくれ。」私たちが果たすべき使命を全うして天に戻るとき、この言葉こそが私たちにとって大きな報いとなります。